「動名詞」 動詞ing

―― 英語は「語順が命」/1つの文に動詞は1つ ――

はじめに|動名詞が分かりにくくなる理由

動名詞は、中学校英語で必ず登場する文法事項です。
しかし生徒からは、こんな声をよく聞きます。

  • 「ing なのに名詞ってどういうこと?」
  • 「to 不定詞と何が違うんですか?」
  • 「なんで is になるんですか?」

教師側も、
「〜することと訳すんだよ」
「この動詞の後は ing だよ」
と、暗記で処理してしまいがちです。

私は英語を教えるとき、
生徒と必ず共有している価値観があります。

英語は語順が命である。
そして、1つの文に動詞は必ず1つしかない。

この考え方を軸にすると、
動名詞は「覚える文法」ではなく、
英語の仕組みとして必然的に生まれた形だと見えてきます。


第1章|動名詞とは何か

まず、定義を一本にします。

動名詞とは、
動作・行為を「名詞として文の中に入れる」ための形である。

英語では、
1つの文の中で、動詞として働ける語は1つだけです。
語順の中で「動詞の席」に座れるのは、常に1語だけなのです。

そのため、
文の中で「もう一つ動きを表したい」とき、
英語はその動きを動詞のまま置くことができません

そこで英語は、
その動きを名詞として処理します。
それが、動名詞です。


第2章|なぜ動名詞は主語・目的語になれるのか

名詞ができることは、大きく2つあります。

  • 主語になる
  • 目的語になる

動名詞は「行為を名詞として扱っている」ため、
この2つの役割をそのまま担うことができます。

  • Playing soccer is fun.
  • I like playing soccer.

この文で、文の中心となる動詞は

  • is
  • like

です。
playing は動きを表していますが、
動詞の位置には置かれていません

語順上、
playing soccer は
主語・目的語という名詞の位置に置かれているため、
文法的には名詞として働いています。


第3章|動名詞が主語になると、なぜ be 動詞は is になるのか

次の文を見てください。

  • Playing soccer is fun.
  • Reading books is fun.

ここで生徒から、よくこんな質問が出ます。

「books は複数形なのに、
なんで is なんですか?」


見るべきポイントは「books」ではない

この文で、主語として扱われているのは

  • books(複数の物)
    ではありません。

主語は
Reading books(本を読むという行為)
です。

reading は動作、
books はその対象。
しかし文全体では、
行為そのものを1つのまとまり(単数)として見ているのです。

だから、

  • Reading books is fun.

となります。


対比例で確認する

  • Reading books is fun.
    (行為が主語)
  • These books are fun to read.
    (books=複数の物が主語)

👉 be 動詞は、形ではなく
「文が何を主語として見ているか」で決まる

ということが分かります。


第4章|動名詞しか取らない動詞(中学レベル)

ここは、学校教育文法として線を引くべき重要ポイントです。

中学校英語では、
次の動詞は 動名詞(〜ing)しか取りません

◆ 中学で必ず押さえる動詞

  • enjoy(楽しむ)
    • I enjoy listening to music.
  • finish(終える)
    • I finished doing my homework.
  • stop(やめる)
    • He stopped smoking.
  • give up(あきらめる)
    • He gave up playing soccer.
  • keep(〜し続ける)
    • Keep trying.
  • mind(気にする/嫌がる)
    • Do you mind opening the window?
  • practice(練習する)
    • She practices playing the piano.
  • suggest(提案する)
    • He suggested going home.

これらの動詞に共通するのは、

「行為そのもの」を目的語に取る

という点です。


第5章|なぜ動名詞しか取らないのか

理由は、非常にシンプルです。

英語は
1つの文に動詞は1つ
というルールを、厳密に守る言語だからです。

たとえば、

❌ I enjoy listen to music.
→ 動詞が2つ並んでしまう

そこで英語は、
後ろの動きを名詞として処理します。

✅ I enjoy listening to music.

👉 listening は動詞ではなく、名詞
👉 語順のルールが守られている


第6章|like は to 不定詞も取れる?

ここは、誤解が生まれやすいポイントです。

  • I like playing soccer.
  • I like to play soccer.

どちらも正しい文です。

中学段階では、次の整理で十分です。

  • like + 動名詞
    → 習慣的・普段から好き
  • like + to 不定詞
    → これからの行動・状況的

ただし、最も大切なのは意味の違いではありません。

どちらの場合も、
語順の原則は完全に守られている

  • 文の動詞は like 1つ
  • 後ろは名詞的な形

第7章|授業で共有したい「共通の価値観」

私は授業の中で、生徒にこう伝えています。

  • 英語は 語順が命
  • 1つの文に 動詞は必ず1つ
  • それ以外の動きは
    名詞・形容詞・副詞として処理される

この共通理解を持つことで、
動名詞も to 不定詞も、
暗記ではなく「納得」で理解できる文法になります。


おわりに|動名詞は語順理解の延長線上にある

動名詞は、
「〜すること」と訳して終わる文法ではありません。

それは、
英語が語順を最優先し、
一文一動詞を守ろうとする結果、生まれた形
です。

この視点を生徒と共有することが、
学校教育文法に
説得力と統一感をもたらすと、私は考えています。