学校教育文法で考える「現在進行形」

― なぜ be動詞が必要なのか?

―「英語は語順が命」という視点から ―


1.現在進行形で中学1年生が感じる「違和感」

中学1年生に現在進行形を導入すると、必ず次のような疑問が出てきます。

  • 「動詞に ing がついているのに、なんで be動詞がいるんですか?」
  • 「動詞が2つあるように見えて変です」
  • 「be動詞はなくても意味が通じそうです」

これらの疑問は、決して間違いではありません。
むしろ、生徒が英語の仕組みを真剣に考え始めている証拠です。

そして、この疑問に正しく答えるための鍵が、
**「英語は語順が命」**という考え方です。


2.英語は「主語+動詞」という語順で成り立つ

英語の文は、基本的に必ず次の形を取ります。

主語 + 動詞

これは

  • be動詞の文
  • 一般動詞の文
  • 過去形や未来を表す文

すべてに共通する、英語の大原則です。

例:

  • I play soccer.
  • She is a student.
  • They like music.

英語では、
主語のすぐ後ろに来る「動詞」こそが文の中心です。

この位置に動詞がなければ、
その文は英語として成立しません。


3.動詞の ing 形は「動詞」ではない

では、現在進行形を見てみましょう。

  • I am playing soccer.

多くの生徒は、ここでこう考えます。

「playing が動詞ですよね?」

しかし、学校教育文法では、ここを次のように整理します。

👉 動詞の ing 形は、文の中心となる「動詞」ではない

ing がついた形は、

  • 動作の途中
  • 進行中の様子

を表すであり、
主語の直後に置かれて文を成立させる役割は持てません

そのため、

❌ I playing soccer.

のような文は、

  • 主語はある
  • しかし、文の中心となる動詞がない

という状態になってしまいます。
これは、「英語は語順が命」というルールを満たしていません。


ing 形のコアイメージは「躍動感」

では、ing 形は何を表しているのでしょうか。

ing 形のコアイメージは、
動きの途中・進行中の躍動感です。

  • 動作が動いている
  • 途中で止まっていない
  • 流れの中にある

この「躍動感」を表すのが、ing 形の役割です。

ただし、ここで重要なのは、

躍動感はあっても、
文を成立させる力はない

という点です。

ing 形は、
動きの様子を伝えることはできても、
文の柱になることはできないのです。


4.だから be動詞が必要になる

ここで登場するのが be動詞 です。

  • I am playing soccer.
  • She is studying English.
  • They are watching TV.

この文では、

  • be動詞:文の中心となる動詞
  • 動詞+ing:動作の進行中の様子を表す

という役割分担が行われています。

つまり現在進行形は、

be動詞が文を支え、
ing 形が動作の躍動感を加える構造

になっています。

この考え方は、
be動詞と一般動詞の違いを整理する際にも重要な視点です。


5.「今〜している」だけでは説明しきれない理由

現在進行形を
「今〜している」
とだけ教えてしまうと、生徒は誤解しやすくなります。

  • now がないと使えない
  • 今この瞬間だけの表現
  • 単純現在形との違いが曖昧

しかし、現在進行形の本質は、

動作を「途中のもの」として捉える見方

です。

この視点があるからこそ、

  • 一時的な行動
  • 今の状況に限られた動作
  • 習慣(単純現在形)との対比

が自然に理解できるようになります。


コラム:現在進行形の ing 形は「現在分詞?動名詞?」

現在進行形で使われている ing 形は、
現在分詞です。

  • I am playing soccer.
  • She is studying English.

この場合の ing 形は、
動作の様子や進行中の状態を表しており、
名詞として使われているわけではありません

一方、次の文では意味が異なります。

  • Playing soccer is fun.

ここでの playing は、
動作そのものを名詞として扱っているため、動名詞です。

形は同じでも、
文の中での役割が違えば名前も役割も変わる
という点が重要です。

ただし、中学1年生の段階では、
これらの用語を無理に教える必要はありません。

大切なのは、

  • ing 形は文の中心の動詞ではない
  • be動詞が文を支えている
  • ing 形は動作の様子を表している

という役割の理解です。


コラム:ing 形は「準動詞」という考え方につながる

ここまで見てきたように、ing 形は、

  • 動詞の意味を持つ
  • しかし、文の中心の動詞にはなれない

という特徴を持っています。

このような形をまとめて捉える考え方が
準動詞です。

準動詞とは、

動詞の意味を持ちながら、
文の中心の動詞としては使えない形

のことを指します。

現在進行形は、
準動詞という考え方に出会う最初の単元です。

中学1年生では用語を教える必要はありませんが、

  • 文の中心の動詞は1つだけ
  • それ以外の「動き」は準動詞で表す

という感覚を育てておくことで、
中2・中3で学ぶ不定詞や分詞が、
一本の線で理解できるようになります。


6.中学1年生におすすめしたい教え方の順序

現在進行形は、次の順序で教えると理解が安定します。

① 英語は語順が命
② 英語の文は「主語+動詞」でできている
③ ing 形は文の中心の動詞ではない
④ だから be動詞が必要
⑤ be動詞+ing で進行中を表す

この流れを意識することで、
暗記に頼らない理解が育ちます。


7.まとめ:現在進行形は「語順理解」の実践例

現在進行形は、

  • be+ing を覚える文法
    ではなく、
  • 英語は語順で成り立つ言語だと実感するための文法

です。

  • 文の中心には必ず動詞が必要
  • ing 形は動詞ではない
  • だから be動詞が文を支える

この視点があれば、生徒の

「なんで be動詞がいるんですか?」

という問いに、
理由をもって答えることができます。

現在進行形は、
英語を構造で理解する第一歩です。


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