時制は「時間」ではなく「動詞の見方」で決まる

―― 中学校英語で私が一貫して伝えている時制の考え方 ――

英語の時制は、
中学生が最も混乱しやすい文法事項の一つです。

現在・過去・未来。
一見すると分かりやすそうですが、
実際の授業では、こんな理解に出会います。

  • now があるから現在形
  • yesterday があるから過去形
  • 未来の話だから will

私は、
この考え方こそが混乱の原因だと考えています。


時制とは「いつ起こったか」ではない

教科書では、
時制は
「動詞の表す動作や状態が、いつ起こったかを表すもの」
と説明されます。

もちろん間違いではありません。

ただし、
それを 「時間そのもの」 として捉えさせてしまうと、
英語の時制は必ず行き詰まります。

私の授業では、
時制を次のように捉え直します。

時制とは、
動詞をどの視点から見ているかである。

つまり、
「今か・昔か・未来か」ではなく、
動詞がどの立場で使われているかが重要なのです。


現在形は「現在」を表さない

まず、強く伝えていることがあります。

現在形は、今この瞬間を表す形ではありません。

現在形が表すのは、

  • 習慣
  • 性質
  • 状態

です。

例えば、

  • I like tennis.
  • I usually get up at 7:30.
  • I am seventeen.

これらは、
「今していること」ではありません。

いつもそうであること。
変わらず成り立っていること。

これが、現在形です。


「now」があるのに現在形ではない理由

生徒が必ず疑問に思う文があります。

I am playing tennis now.

「now があるのに、
なぜ現在形じゃないんですか?」

この疑問は、とても良い疑問です。

答えは明確です。

英語では、
今この瞬間の動作を現在形では表さない。

今している途中の動作を表すために、
英語は 現在進行形 を使います。


動詞ing形だけでは、現在進行形にはならない

ここで、
現在進行形について
必ず整理しておきたいことがあります。

動詞ing形だけでは、
現在進行形を表すことはできません。


動詞ing形は、もう「動詞」ではない

例えば、

  • playing
  • studying
  • running

これらは、

  • 動作が進行中である
  • 動作の途中である

という 意味的な情報 は持っています。

しかし、

  • 時制を持たない
  • 主語と結びついて文を成立させられない

つまり、
文の中心となる「動詞」ではありません。

動詞ing形だけでは、
英文は成立しないのです。


英語の文には、必ず「動詞」が必要

ここで、
私が1年生から3年生まで
一貫して伝えている原則につながります。

英語は語順が命。
語順の核は「主語+動詞」。

ところが、
動詞ing形は
すでに「動詞」ではありません。

👉 だから、別の動詞が必要になる。

これが、
現在進行形で be動詞が必要になる理由です。


なぜ一般動詞ではいけないのか

ここで、日本語の感覚から
次のように考えてしまうことがあります。

「動詞が必要なら、
何か一般動詞を入れればいいのでは?」

しかし、英語ではこれは成り立ちません。

理由は、
一般動詞には必ず意味があるからです。


一般動詞は「意味を持ちすぎている」

一般動詞は、

  • play(遊ぶ)
  • eat(食べる)
  • go(行く)

など、
それぞれ具体的な意味を持っています。

もし、

I play playing tennis.

のように一般動詞を入れてしまうと、

  • play という意味が加わり
  • 本来伝えたい
    「テニスをしている途中」という意味が
    変わってしまいます。

一般動詞は、
意味を持ちすぎているのです。


be動詞は「意味を持たない」からこそ使われる

そこで使われるのが be動詞 です。

be動詞は、

  • 行動の意味を持たない
  • 状態・存在を表す
  • 文を成立させるための土台になる

動詞です。

だから現在進行形では、

  • be動詞が
    → 文の中心となる「動詞」の役割を担い
  • 動詞ing形が
    → 動作が進行中であることを補足する

という 役割分担 が成立します。


現在進行形の正体

現在進行形は、

be動詞 + 動詞ing

という形ですが、
中身を整理すると次のようになります。

  • be動詞:
    文を成立させ、時制を決める中心の動詞
  • 動詞ing形:
    動作が途中であることを示す情報

つまり、

現在進行形の時制を決めているのは be動詞

です。


「1文に動詞は1つ」という原則とのつながり

ここで、
もう一度原則に立ち返ります。

1文に、中心となる動詞は1つ。

現在進行形では、

  • 中心の動詞 → be動詞
  • 動詞ing形 → 動詞ではなく補足情報

この整理ができると、

  • 動詞を入れすぎない
  • 文の中心を見失わない
  • 時制を be動詞で判断できる

ようになります。


英語に「未来形」という時制は存在しない

最後に、未来についてです。

私は生徒に、
はっきりこう伝えています。

英語に「未来形」という時制は存在しない。

未来を表すとき、英語は

  • will + 動詞原形
  • be going to + 動詞原形
  • 現在形(時・条件節など)

といった 表現の選択 をします。

ここでも重要なのは、

未来かどうかではなく、
動詞をどう見ているか

という視点です。


まとめ:時制は「動詞の見方」で決まる

時制は、
暗記する文法項目ではありません。

  • 現在形は「習慣・状態」
  • 今していることは現在進行形
  • 動詞ing形だけでは文にならない
  • be動詞が文と時制を支えている
  • 未来形という時制は存在しない

すべては、動詞の見方で決まる。

この視点を共有できると、
生徒は
「時制が分からない」から
**「自分で判断できる」**段階へ進みます。

※現在進行形の理解は、
以前投稿した
**「一般動詞とbe動詞の違い」**の記事とも
深くつながっています。

be動詞を
「意味」ではなく
文を成立させるための土台として捉えることで、
時制全体の理解が整理されます。

👉【一般動詞とbe動詞の違いを授業でどう教えるか|関連記事はこちら】