AIは英語教師の敵か、味方か

― 不安の正体と、これからの付き合い方 ―


最近、AIの話題を避けて通れなくなりました。
英語教師として、

  • 「使わないと時代遅れなのではないか」
  • 「でも、使うと手を抜いているような気がする」

そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。

AIは、英語教師の仕事を奪う存在なのでしょうか。
それとも、授業や評価を支えてくれる道具なのでしょうか。

この記事では、
AIを「使う/使わない」という二択で考えるのではなく、
英語教師が安心してAIと向き合うための視点を整理します。


AIが「怖い」と感じてしまう理由

AIに対して不安を感じるのは、決して特別なことではありません。
多くの英語教師が、次のような感情を抱いています。

  • 仕事を奪われるのではないかという不安
  • 正解を即座に出してくる存在への違和感
  • 教育の「人間らしさ」が失われてしまうのでは、という恐れ

これらの不安は、
AIそのものが怖いというよりも、
「教師の役割が見えなくなること」への不安だと言えます。

だからこそ、
AIをどう使うか以前に、
教師の仕事とは何かを整理する必要があります。


AIは本当に英語教師の仕事を奪うのか

AIが得意なこと

AIが得意なのは、主に次のような作業です。

  • 英文例を複数パターン出す
  • 説明文を言い換える
  • 情報を整理し、まとめる
  • 長文問題などの案を無限に生成する
  • 英文法に関する質問に詳しく答える

これらは、
「正解が決まっている」「判断を伴わない」作業です。


AIができないこと

一方で、AIにはできないことがあります。

  • 生徒の表情や反応を読み取ること
  • つまずきの背景を考えること
  • 評価の責任を引き受けること

AIは答えを出すことはできますが、
どこを評価するか、何を大切にするかは決められません。

ここに、英語教師の仕事があります。


英語教師の仕事は「説明」から「設計」へ

これからの英語教師の仕事は、
「上手に説明すること」だけではありません。

  • 何を学ばせたいのか
  • どこで生徒を悩ませたいのか
  • どの力を、どの場面で評価するのか

こうした学習の設計こそが、教師の専門性です。

説明そのものは、
AIが補助することができます。

しかし、
何を説明させるかを決めるのは教師です。


国の方針はどうなっているの?

文部科学省も、生成AIの教育利用について一定の方向性を示しています。
2023年に公表されたガイドラインでは、生成AIを
「学習や指導を代替するもの」ではなく、
「教師や学習者の思考を支援する補助的な道具」

として位置づけています。

特に強調されているのは、次の点です。

  • 最終的な判断や評価の責任は教師が担うこと
  • 児童生徒がAIの出力をそのまま受け取るのではなく、
    考え直す過程を大切にすること

これは、AIを使うこと自体を否定しているのではありません。
むしろ、
AIをどう使うかを教師が判断し、学習の設計に生かすことが重要
という考え方です。

AIは正解を提示することはできますが、

  • どこでつまずかせるか
  • 何を評価するか
  • どの力を育てたいのか

を決めることはできません。
その役割は、今後も英語教師に委ねられています。


AIは教師の代わりにはならない

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。

AIは、英語教師の代わりにはなりません。
しかし、
教師を「設計者」に戻してくれる存在ではあります。

AIが入ることで、
教師が本来向き合うべき

  • 生徒理解
  • 評価の判断
  • 授業の意図

に、より時間とエネルギーを使えるようになります。

私は、これから先も教師は必要不可欠な職業だと考えています。
どれほどAIが発達しても、教師という存在が不要になることはありません。

なぜなら、生徒は生身の人間だからです。
その成長に向き合うには、
同じ生身の人間の存在が欠かせないと感じています。


AIと向き合うために大切な視点

英語教師がAIと上手に付き合うためには、
次の3つの視点が大切です。

  1. 正解を聞く相手にしない
  2. 叩き台として使う
  3. 最終判断は必ず教師が行う

AIは、考えるための材料をくれる存在です。
判断を代わりにしてくれる存在ではありません。


まとめ

英語教師がAIに振り回される必要はありません。
大切なのは、
教師として何を大切にするかを自分の言葉で語れることです。

  • AIは、敵でも万能な存在でもない
  • 教師の仕事の中心は「判断」と「設計」
  • AIは、そのための道具として使う

AIをどう使うかは、技術の問題ではありません。
英語教師として、どんな授業をつくりたいかという問いなのだと思います。

次回は、
AIに任せていい仕事/任せてはいけない仕事を、
英語教師の視点から具体的に整理します。

参考・出典