【理論が好きな英語教師の、現場メモ⑦】

私たちは、何を見て評価しているのか


英語の授業で行う
パフォーマンステスト。

多くの場合、
「どれだけ正しく言えたか」
「間違いがどれくらいあったか」
に目が向きがちです。

でも、
それだけで
本当に学習を見取れているのか、
私はいつも立ち止まって考えます。


第二言語習得の視点で見ると、
学習は
一発で完成するものではありません。

言い直し、
言い換え、
止まり、
迷いながら、
少しずつ形になっていく。

もし評価が
「正確さ」だけを拾ってしまえば、
この過程は
すべて減点対象になってしまいます。


だから私は、
パフォーマンステストで
次のようなところを見ています。


まず一つ目は、
粘り強く、最後まで伝えようとしているか
という点です。

途中で詰まっても、
沈黙しても、
諦めずに続けようとしている。

その姿には、
学習が動いているサインが
はっきり表れています。


二つ目は、
完璧でなくても、
コミュニケーションを取ろうとしているか

文法的に整っていなくても、
単語が足りなくても、
相手に向かって言葉を投げている。

アウトプット仮説や
インタラクション仮説の視点では、
ここに大きな価値があります。


三つ目は、
目的・場面・状況に応じて
英文を選ぼうとしているか

同じ内容でも、
相手や状況によって
言い方を変えようとしている。

これは、
単なる暗記ではなく、
言語を使おうとしている状態です。


四つ目は、
これまでに学んだ文法や単語を
使おうとしているか

正確に使えているかどうかよりも、
「思い出して使おうとしているか」。

Noticingや
インプットの蓄積が、
ここで形になり始めます。


そして五つ目は、
文と文のつながりを意識し、
まとまりのある内容で伝えようとしているか

一文ずつではなく、
全体として
「何を伝えたいのか」が
見えてくるかどうか。

これは、学習が次の段階に入っていることを
示す大きな手がかりです。


こうして見ると、
私が評価しているのは、
「できたか/できていないか」
ではありません。

学習者が、これまでの学びを使って
どこまで前に進もうとしているか
です。


評価は、
結果を裁く行為ではなく、学習の現在地を確かめる行為
なのだと思います。

だからこそ、パフォーマンステストは、
終わりではなく、次の授業への出発点になります。


次回は、
学習が一直線には進まない理由を、
別の角度から考えます。

なぜ、教えた順番どおりに
身につかないのか。

第8回では、
自然習得順序仮説を手がかりに、
学習の「遠回り」を
どう捉えるかを考えてみます。