中学校英語のCAN-DOリストはどう作るのか

※この記事は制度の公式解説ではなく、現場教師として英語教育の考え方を整理した個人の見解です。

これまでの記事では

  • CAN-DOリストとは何か
  • CAN-DOリストは本当に必要なのか

という点について整理してきました。

もしCAN-DOリストを活用するのであれば、
次に考える必要があるのは

「どのように作るのか」

という点です。

今回は、中学校英語を例に
CAN-DOリストの作り方と運用について整理してみたいと思います。


CAN-DOリストの基本原則

CAN-DOリストを作るときの基本は

「できること」で目標を書く

という点です。

例えば

従来の目標

現在完了形を理解する

CAN-DO形式

自分の経験について英語で伝えることができる

このように

文法ではなく言語使用

を目標にすることがポイントになります。


CEFRのCan-Do記述

CAN-DOリストの背景には

Common European Framework of Reference for Languages

があります。

CEFRでは言語能力を

「〜できる」

という形で記述します。

例えば

  • 身近な話題について簡単な会話ができる
  • 自分の経験について説明できる

といった形です。

日本の英語教育でも、この考え方を参考に
CAN-DO形式の目標設定が取り入れられています。


CAN-DOリストはどの単位で作るのか

CAN-DOリストについて考えるとき、
もう一つ疑問があります。

それは

「どの単位で作るのか」

という点です。

実際には、CAN-DOリストは
次の3つのレベルで考えることができます。


学校CAN-DO(学校全体の目標)

まず最も基本となるのは

学校としての学習到達目標

です。

これは

中学校卒業時に

どのような英語力を身に付けてほしいか

を示すものです。

例えば

  • 自分の経験について英語で説明できる
  • 身近な話題について英語でやり取りできる
  • 簡単な意見を英語で述べることができる

といった形になります。


学年CAN-DO

次に考えられるのが

学年ごとのCAN-DOリスト

です。

例えば

1年生

  • 簡単な自己紹介ができる
  • 好きなものについて理由をつけて話すことができる
  • 簡単な質問に答えることができる

2年生

  • 自分の経験について英語で説明できる
  • 日常生活について簡単な会話ができる
  • 相手に質問しながら会話を続けることができる

3年生

  • 自分の意見を英語で述べることができる
  • 経験や出来事についてまとまった説明ができる
  • 簡単なディスカッションに参加できる

このように

卒業時の目標に向けて段階的に設定する

形になります。


単元CAN-DO

さらに授業では

単元CAN-DO

として設定することもあります。

例えば

現在完了の単元

CAN-DO

自分の経験について英語で伝えることができる

このように

授業のゴール

として設定することができます。


文法との関係

ここで重要なのは

文法が不要になるわけではない

という点です。

例えば

文法目標

現在完了形を理解する

CAN-DO目標

自分の経験について英語で伝えることができる

という関係になります。

つまり

文法は手段

であり

CAN-DOは目的

と言えるかもしれません。


CAN-DOリストはいつ共有するのか

CAN-DOリストは

個人の授業計画

ではなく

学校の英語教育の目標

です。

そのため、英語科の教師同士で共有することが重要になります。


年度初め:目標の共有

最も重要なタイミングは

年度初めの英語科会議

です。

この段階で

  • 学年目標
  • 生徒の実態
  • 重点的に育てたい能力

などを踏まえながら

学年CAN-DO

を確認します。


単元設計のとき:授業との接続

次に重要なのは

単元計画を立てるタイミング

です。

例えば

  • パフォーマンス課題を作るとき
  • 定期テストを作るとき
  • 指導案を作るとき

などです。

この段階で

単元CAN-DO

を確認することで、

授業活動と目標が結びつきやすくなります。

例えば

CAN-DO

自分の経験について英語で伝えることができる

活動例

  • スピーチ
  • ペアインタビュー
  • ミニプレゼンテーション

このように

目標と活動が対応している

ことが重要になります。


年度末:CAN-DOリストの改善

年度末には

  • 目標は適切だったか
  • 生徒の実態に合っていたか
  • 授業で機能していたか

を振り返ります。

この振り返りをもとに

次年度のCAN-DOリスト

を改善することができます。


CAN-DOリストはサイクルで考える

こうして考えてみると、CAN-DOリストは

作って終わる資料

ではありません。

理想的には

  1. 年度初め:目標の共有
  2. 単元設計:授業との接続
  3. 年度末:振り返りと改善

というサイクルの中で活用されるものだと考えられます。


次年度に向けてCAN-DOリストを作成してみたい

この記事を書きながら改めて気付いたことがあります。

それは

私の勤務校にはCAN-DOリストが存在していない

ということです。

もちろんこれまでの授業は

  • 教科書
  • 単元目標
  • 評価規準

などをもとに進めてきました。

しかし今回整理してみると

学年間のつながり

という点については、
まだ十分に共有されていない部分もあるのではないかと感じています。

例えば

  • 1年生でどのような力を育てるのか
  • 2年生でどのように発展させるのか
  • 3年生でどのような力につなげるのか

といった

3年間を見通した学習の流れ

です。

そこで次年度に向けて

勤務校のCAN-DOリストを作成してみたい

と考えています。

これは

3年間を見通した学習カリキュラムを考えるための土台

として整理してみたいと思っています。


作成したCAN-DOリストは公開したい

もし勤務校でCAN-DOリストを作成することができたら、
その内容を

Learn Nova Praxis

で公開してみたいと考えています。

もちろん

  • 完璧なものではないかもしれません
  • 改善の余地も多いと思います

しかし

実際の学校で作られたCAN-DOリストは
他の学校の先生方にとっても

参考になる部分があるかもしれません。

もしよろしければ

  • 参考にしていただいたり
  • ご意見をいただいたり

できれば嬉しく思います。

CAN-DOリストを作ること自体が目的ではなく、
英語教育について教師同士で考えるきっかけになることを願っています。