2026年6月18日、文部科学省の中央教育審議会・教育課程部会「外国語ワーキンググループ(WG)」で、次期学習指導要領に向けた外国語教育の取りまとめ案が示されました。2030年前後に予定される次期指導要領で、英語教育の設計思想が大きく変わろうとしています。この記事では、その要点を現場教師の視点で整理します。

本記事は、文部科学省 外国語ワーキンググループの公開情報および報道(2026年6月の取りまとめ案)をもとに、当サイトの視点で整理したものです。確定情報は文科省の公式資料をご確認ください。


1. AI活用を学習指導要領に「明記」する

最も注目すべきは、AIを含むデジタル学習基盤の活用を学習指導要領に明記する方針です。これまでAI活用は現場の判断に委ねられており、それが外国語学習の「量」や「質」の格差につながることが懸念されていました。明記によって、AI活用を全国的に底上げしようという狙いです。

この流れは、当サイトのAI関連記事とも直結します。文科省「AI英語活用リーダー」事業が示す現場でのAI活用の要点 もあわせてご覧ください。

2. 「基盤語彙リスト」をつくる

取りまとめ案では、基盤(基礎)語彙リストの作成も論点になっています。背景には、現行指導要領で語彙数が増え、難易度が上がったことが、生徒の学習意欲の低下や教員の負担増を招いたという反省があります。「何を、どこまで教えるか」の共通の土台をつくろうという動きです。

3. 小中高を「CAN-DOリスト」でつなぐ

校種間の接続については、小・中・高を通じたCAN-DOリストを示すことが提案されました。さらに高校では、入学初期に生徒の学習状況を把握し、中学校までの内容の定着を図るとされています。学びの見通しを持たせ、段差をなくそうという発想です。

CAN-DOリストの意義と課題については、当サイトでも検討してきました。CAN-DOリストは本当に必要なのか / 中学校英語のCAN-DOリストはどう作るのか もご参照ください。

4. 「言語活動」と「学ぶ意味」の問い直し

WGでは、言語活動の再定義中学英語の難易度の適正化、そして「AI時代に外国語を学ぶ本質的意義」も議論されています。技術が変わるなかで、なぜ英語を学ぶのかという根本が問われているのです。


まとめ ― 「設計図」が変わるとき、現場は何を見るか

学習指導要領は、英語教育という営みの設計図です。その改訂期にあたり、現場教師に求められるのは、変更点を暗記することではなく、「なぜそう変えようとしているのか」という意図を読むことです。指導要領そのものの読み方については 学習指導要領は、何のためにあるのか で詳しく書いています。

【主な参照元】文部科学省 教育課程部会 外国語ワーキンググループ 取りまとめ案(2026年6月18日)および関連報道。

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ABOUT ME
Tom先生
中学校の英語教師(教職7年)。専門は第二言語習得論(SLA)。英検準1級・TOEIC 830点、アメリカ留学経験あり。「現場の教師が、明日の授業に使える知」をモットーに、授業づくり・評価・英文法指導・SLA理論の実践を発信しています。