導入

今日の授業では、「1つの文に動詞は1つ」という原則をテーマに扱っていました。

例えば、

I like watching soccer.

このような文をもとに、

英語の文では動詞は基本的に1つになること
しかし、「私はサッカーを見ることが好きです」のように意味としては動詞が2つ必要になる場面があること
そのときに、不定詞(to+動詞の原形)や動名詞(動詞+ing)を使うことで、動詞を“動詞ではない形”に変えて処理していること

を説明していました。

多くの生徒が納得した様子で授業を終えようとしたとき、一人の生徒がこう聞きました。

「先生、なんで like は動詞なの?どんな動きなの?」

その瞬間、言葉に詰まりました。

「likeは動詞だよ」とは言える。
しかし、「なぜ動詞なのか」を納得感をもって説明することができませんでした。

「いい質問だね。これは先生の宿題にさせてほしい」

と伝えて、その場を終えました。

この問いは、単なる語彙の問題ではなく、英語の文の仕組みそのものに関わる問いだと感じました。


結論

英語は語順と動詞で文を成立させる言語です。

そして、1つの文には動詞が1つ必要になります。

この前提から考えると、「好き」という状態であっても動詞として表現されると考えることができます。


英語は「語順」で意味を作る言語

英語は S(主語)+V(動詞)という語順で意味を作る言語です。

動詞がなければ文が成立しません。


日本語は「状態」で表せる言語

日本語では、

私は野球が好きだ。

この文を分解すると、

主語:私は
述語:好きだ

となります。


述語とは何か

ここで重要なのは、述語=動詞ではないという点です。


日本語の述語の種類

動詞述語
私は走る。彼は本を読む。
→ 動きを表す

形容詞述語
空は青い。この本は面白い。
→ 性質・状態

名詞述語
彼は先生だ。私は中学生だ。
→ 属性・立場

形容動詞述語
私は野球が好きだ。この町は静かだ。
→ 状態


日本語の特徴

日本語では、「何をするか」だけでなく、「どんな状態か」もそのまま文の中心に置くことができます。

つまり、動詞を使わなくても文が成立する言語です。


英語との違い

英語
主語+動詞が必要

日本語
主語+述語(動詞でなくてもよい)

この違いが、「likeはなぜ動詞なのか」という疑問につながります。


言語の距離という視点

言語には「距離」があると考えられています。

Foreign Service Institute の分類では、日本語は英語話者にとって最も習得に時間がかかる言語の一つとされています。

同じカテゴリーには、

中国語(標準中国語)
アラビア語
韓国語

などが含まれます。

これらの言語は、

語順の違い
文字体系の違い
音の違い
状態と動作の捉え方の違い

といった点で英語と大きく異なります。


like は「動き」ではない

I like soccer.

この like は「好きになる動き」ではなく、「好きである状態」を表しています。

このような動詞は「状態動詞」と呼ばれます。


それでも動詞になる理由

英語は動詞がないと文が成立しません。

そのため、状態や感情であっても動詞として表現されます。


だから進行形にしにくい

I am liking soccer.

この文が不自然に感じられるのは、like が動きではないためです。


状態動詞の一覧

感情
like / love / hate / prefer

思考
know / think / believe / understand

所有
have / own / belong

感覚
see / hear / smell / taste

存在
be / exist / remain

これらはすべて、「すでにそうである状態」を表す動詞です。


例外

I’m loving it.

このように、状態動詞が進行形で使われる場合もあります。

これは一時的な感情の強調として使われています。


本質まとめ

英語は語順と動詞で文を作る言語です。

1つの文には動詞が1つ必要になります。

そのため、状態であっても動詞で表現されます。


授業での返し

英語は語順と動詞で文を作る言語で、1つの文には動詞が1つ必要になる。
だから「好き」みたいな状態でも、動詞として表さないと文が成立しない。
like は動きじゃなくて状態だけど、文を作るために動詞として使われているんだよ。


現場への示唆

動詞=動きと教えると、どこかで必ず破綻します。

英語は動詞中心の言語であるという前提を共有することが重要です。