目次
なぜ今パフォーマンステストが重要なのか
近年の学習指導要領では、
「知識・技能」「思考・判断・表現」「学びに向かう力」
という三つの資質・能力をバランスよく育成することが求められています。
特に外国語科では、教室内での“実際に使う活動”が重視され、
単に文法事項を理解するだけではなく、目的・場面・状況に応じて言語を使いこなす力が求められています。
この流れの中で パフォーマンステスト(Performance Test) は、
授業のゴールと評価のゴールを一致させるための極めて有効な方法として注目されています。
学習指導要領に示されている外国語教育の方向性
学習指導要領解説には、外国語教育の改善について次のように記されています。
生徒が物事を捉え,思考する「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」を働かせ,「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の言語活動を通して情報や考えを理解・表現・伝達する力を育成することを目指す。
(P6, 外国語編 中学校学習指導要領 解説)
つまり、英語科の学習は「活動して終わり」ではなく、言語活動を通して資質・能力を伸ばすことが本質です。
今求められる授業トレンド
現代の授業では、
- 知識の詰め込み
- パターンプラクティス中心の単調な練習
といった学び方ではなく、「意味のある文脈の中で繰り返し使いながら身につける英語」 が求められています。
学習指導要領にも次のように明記されています。
意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れることができるよう、様々な言語活動を工夫し、言語の運用能力を高めることが必要である。
(P29, 外国語編 中学校学習指導要領 解説)
なお、学習指導要領の中で「言語活動」という語は 合計162回 使用されており、
これほど頻出であることから、言語活動が英語教育の中心的概念であることがわかります。
授業に少しでも言語活動を取り入れると、授業が変わり、生徒が変わり、英語学習の姿が変わります。
言語活動の定義(学習指導要領に基づく)
学習指導要領解説では、言語活動の基本的な考え方として以下を挙げています。
🟦(1)言語活動は「目的・場面・状況」が基盤
生徒が
- 何のために(目的)
- どんな場面で(場面)
- 誰に向けて(相手・状況)
言語を使うのかを意識しながら取り組む活動です。
例:進路面談でのアドバイス活動
- 目的:友達の悩みに応える
- 場面:進路面談
- 状況:部活と勉強の両立に悩んでいる相手
文脈が明確になることで、言語活動はリアルさを増し、学びの質が高まります。
🟦(2)言語活動は“コミュニケーションの実践”
英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を活用しながら「伝え合う」活動です。
学習指導要領解説では次のように示されています。
実際のコミュニケーションにおいて活用され,思考・判断・表現することを繰り返すことで資質・能力が育成される。
(P54, 外国語編 中学校学習指導要領 解説)
🟦(3)言語材料(語彙・文法)とセットで機能する
言語活動は単元の学習内容(語彙・文法・表現)と結びついています。
例:
- 「比較」を学んだ → おすすめの場所を比較して紹介する
- 「仮定法」を学んだ → If I were を使って後輩に助言する
ただし、言語材料を“指定しすぎる”と活動の幅を狭めてしまう点に注意が必要です。
「比較表現を使って書きなさい」
「仮定法を必ず使いなさい」
といった制限は、生徒の表現内容を狭め、学びを阻害します。
→ 解決策:目的・場面・状況が適切なら、自然と学んだ文法を使いたくなる課題になる。
「言語活動が求められる理由」(学習指導要領の意図)
🔶(1)実際に使えるコミュニケーション能力の育成
単元で学んだ文法を“使える形”に変えるには、実際に言語を使う場面が不可欠。
🔶(2)思考力・判断力・表現力が育つ
相手意識を持った発話や記述は、自然と “C観点(思考・判断・表現)” を満たす。
🔶(3)主体的・対話的で深い学びが生まれる
言語活動は生徒同士の相互作用を生み、協働的な学習を促す。
英語科における言語活動の種類(学習指導要領より)
公式資料では、言語活動は次の4つに分類されています。
🟩 ① やり取り(Interactive Communication)
相手との対話で意味を交渉する活動。
例:インタビュー、ロールプレイ、相談・助言
🟩 ② 発表(Productive Communication)
自分の考えを整理して伝える活動。
例:スピーチ、プレゼン、自己紹介
🟩 ③ 理解(Receptive Activities)
聞いたり読んだりして理解する活動。
例:要点メモ、説明文の読み取り
🟩 ④ 統合的なコミュニケーション活動
複数技能を組み合わせた実践的活動。
例:
- 読んだ情報をもとに紹介する
- 調べ学習 → 発表
- 記事を読んで意見文を書く
言語活動の基本構造(文科省解説より)
言語活動を成立させるための構成要素は次の通りです。
- 目的(Purpose)
- 場面(Scene)
- 状況(Context)
- 相手(Audience)
- 手段(Skills)
- 言語材料(Language Material)
これらが揃うことで、“活動が学びとして機能する” と明記されています。
活動のさせっぱなしにしないこと(重要)
言語活動の本質は次のサイクルです。
活動 → 中間指導 → 活動
1回活動させて終わり…では効果は薄い。
教師の机間指導と中間指導が極めて重要です。
中間指導で行うべきこと
- 共通したエラーを拾い、全体で共有
- 優れた表現を共有して内在化させる
- ただし 文全体を書くなど、パターンプラクティスに戻らない工夫 が必要
「ヒントの出しすぎ」「正解を与えすぎ」は生徒の思考力を奪います。
言語活動は英語教育の「中心」ではなく「核」
公式資料が繰り返し述べているのは、
言語活動は英語教育の本質そのもの であるということです。
適切に設計された言語活動は、
- 資質・能力の育成
- 評価の適正化
- 学びの循環
- “使える英語” への成長
を実現します。
まさに、英語教育の「核」と呼ぶべき概念です。
まとめ
現行の学習指導要領では、英語科において「目的・場面・状況に応じて言語を使用する言語活動」が中心的な学びとして明確に位置付けられています。言語活動は、知識・技能を“使える力”へと転換し、生徒が相手意識をもちながら思考・判断・表現するための核となるプロセスです。
また、言語活動は4技能を統合的に伸ばし、主体的・対話的で深い学びを生み出します。パフォーマンステストや評価との一体化にも効果があり、授業改善に直結します。
大切なのは、活動させて終わりではなく、「活動 → 中間指導 → 活動」というサイクルを丁寧に回すことです。言語活動は英語教育を大きく変える力をもち、日々の授業に少しずつ取り入れることで、生徒の英語力は確実に育っていきます。


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