【第4回】

評価は、何のためにあるのか

新しい学習指導要領(素案)から見える評価の位置づけ

新しい学習指導要領(素案)から見える評価の位置づけ

※注意書き

※本記事は、新しい学習指導要領(素案)を現場の教師の目線で整理したものです。
公式見解や結論を示すものではなく、一つの読み取りとしてお読みください。


評価の話題が、なぜいつも重くなるのか

学習指導要領の改訂が話題になると、
多くの教師が真っ先に気にするのが「評価」です。

  • 評価はどう変わるのか
  • 観点別評価は続くのか
  • 通知表はどうなるのか

評価は制度であり、同時に実務でもあります。
そのため、
「考え方」より先に「処理の話」になりやすい
という特徴があります。

評価の話題が重くなりがちなのは、
無理もないことなのかもしれません。


現行の学習指導要領における評価の位置

現行の学習指導要領では、

  • 目標(資質・能力の三つの柱)
  • 指導
  • 評価

が強く結びつけて整理されてきました。

「指導と評価の一体化」という考え方も、
すでに現場では定着しています。

一方で実際には、

  • 評価を意識しすぎて授業が硬くなる
  • 評価のために活動を組んでしまう

といった状況が生まれていた面も否定できません。

ここまでは、
現行の整理として共有されてきた現実でしょう。


素案から見える「評価の扱い方」の変化

新しい学習指導要領(素案)を読むと、
評価に関する記述が、
以前より前面に出ていないように感じられる部分があります。

ただし、
これは評価が軽視されているという意味ではありません。

むしろ、

  • 評価を主役にしすぎない
  • 学びの流れの中に位置づけ直す

そうした意図を感じさせる書きぶりだと、
読み取ることもできそうです。

評価が「中心」から外れたというより、
評価の立ち位置が少し下がった
と表現する方が近いかもしれません。


評価は「測るもの」から「支えるもの」へ?

評価の変化は、
よく「形成的評価」という言葉で語られます。

ただ、素案では、
この言葉が強調されているわけではありません。

そこから読み取れるのは、

  • 評価の方法を変えよ、という指示
  • 数値をやめよ、という宣言

ではなく、

評価を、学びの途中に置き直そうとしている

という方向性です。

評価は、
結果を確定させるためだけのものではなく、
学びを調整し、次につなげるためのものとして
再び位置づけられようとしているように見えます。


現場が一番不安になるポイントは、ここに集まる

評価について考えるとき、
現場の不安は、次のような点に集まります。

  • 観点別評価は、このまま続くのか
  • 評定や数値は、なくなるのか
  • 記録や事務負担は、どうなるのか

これらは、
日々の実務に直結する、切実な問いです。

ただ、素案を丁寧に読んでも、
これらに対する明確な答えが示されているとは言い切れません

現時点では、

  • 観点別評価が廃止される
  • 評定がなくなる
  • 記録が大幅に減る

と断定することは難しく、
今後の議論や整理に委ねられている段階だと考える方が自然でしょう。


現場でよく聞く「あるあるな不安」

評価の不安は、
職員室や研修の場で、
こんな形でも語られます。

「評価が変わるって言うけど、
結局、通知表は今まで通り出さないといけないんですよね?」

「形成的評価が大事なのは分かるけど、
記録は全部残さないといけないんですよね?」

「評価を減らす方向って聞くけど、
どこまで見ればいいのか分からない…」

これらに共通しているのは、
方法そのものよりも、
判断の基準が見えにくくなることへの不安です。


保護者対応で表に出にくい「あるある」

評価の不安は、
保護者対応の場面でも、静かに積み重なります。

「主体的な学びを大切にしているのは分かりますが、
成績はどうやって決めているんですか?」

「前より頑張っているように見えるのに、
評価が上がらないのはなぜでしょうか?」

こうした問いは、
制度への不信というより、
評価の根拠が見えにくいことへの不安
から生まれているように感じられます。


問われているのは「量」ではなく「意味」

ここで整理しておきたいのは、
素案が問い直しているのは、

  • 評価を減らすか、増やすか
  • 記録を簡略化するかどうか

といった量の話ではない、という点です。

むしろ、

  • その評価は、学びの途中で生かされているか
  • 記録すること自体が目的になっていないか

といった、
評価の意味や使い方が、
静かに問われているように見えます。


第2回・第3回とつなげて考える

第2回では、
目標が固定的なゴールではなく、
学びの中で育っていくものとして捉え直されつつあることを整理しました。

第3回では、
教師と学習者の関係が、
役割ではなく関係性として描かれ直されていることを確認しました。

この二つを踏まえると、
評価もまた、

  • 結果を確定するためのもの
    から
  • 学びを支え、つなぐためのもの

へと、
位置づけが変わっていくのは自然な流れだと言えそうです。


この変化を、現場ではどう受け止めるか

現時点で、
すぐに評価方法を大きく変える必要はありません。

ただ、

  • 評価が目的化していないか
  • 学びを狭めてしまっていないか

という視点で、
評価との距離感を見直してみる
価値はありそうです。

評価を恐れる必要はありません。
ただ、評価に振り回されすぎないことは、
これからますます大切になっていくのかもしれません。


おわりに

新しい学習指導要領(素案)が示しているのは、
評価をなくすことでも、
教師の負担を一方的に増やすことでもありません。

評価を、
学びの流れの中に戻そうとする試み
だと読み取ることもできそうです。

評価は、
結果を告げるためだけのものではなく、
次の学びにつなげるための手がかりでもあります。

この第4回が、
評価について考える際の
一つの視点になれば幸いです。

第3回
学習指導要領について
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