――道徳ノートと振り返りの考え方
道徳ノートを書くこと自体が、目的ではありません。
ノートを書かないと、思考が深まらないのかと言われれば、
私はそうは思っていません。
書くことに一生懸命になるあまり、
目の前で起きている大切な議論に参加できなくなるとしたら、
それは本末転倒です。
道徳の授業でまず大切なのは、
考え、揺れ、他者と向き合うこと。
ノートは、そのあとに残る思考の跡でしかありません。
目次
道徳ノートは「学習の記録」として使いたい
私は、道徳ノートを
学習の記録として使いたいと考えています。
そのため、ノートには必ず、
- 日付
- 第◯回
- 教材名
- 内容項目
- テーマ
- 振り返り
を書くように指導しています。
これらは、
その時間に「何を扱い、何を考えたのか」を
後から振り返るための、最低限の情報です。
発問や回答を書き写すことは目的にしない
一方で、私は、
- 3〜4つの発問
- その発問に対する回答
を、すべてノートに書き写させることはしていません。
理由は明確です。
発問や回答を書き写すことに時間と意識を取られると、
ノートを書くこと自体が目的になってしまうからです。
道徳の授業で大切にしたいのは、
- その場で考えること
- 他者の意見を聞くこと
- 議論の中で揺れること
です。
書くことに集中しすぎて、
議論に十分に参加できなくなるのであれば、
それは学びの本質から外れてしまいます。
ノートは「考えをまとめる場所」ではない
道徳ノートは、
考えをきれいに整理するための場所ではありません。
- 途中で考えが変わってもいい
- 矛盾が残っていてもいい
- 書ききれない違和感があってもいい
むしろ、そうした痕跡こそが、
その時間に思考が動いた証だと考えています。
整ったノートよりも、
揺れた跡が残っているノートの方が、
学習の記録としては価値があります。
振り返りは「テーマ」に立ち返って書く
振り返りでは、
その時間に扱ったテーマに対して書かせています。
ただし、
「分かったこと」や
「正しい答え」を書かせることが目的ではありません。
- まだ迷っていること
- 考えが揺れたままの部分
- うまく言葉にできない違和感
そうしたことを書いてもよい、
と伝えています。
振り返りは、
学習の終わりではなく、
思考の途中経過です。
振り返りは、個人で考え、他者と往復する
振り返りを書く際、
私はいきなり意見を交流させることはしていません。
まずは、
一人でテーマに向き合い、
自分の考えを記入する時間を取ります。
これは、
他者の意見に引っ張られる前に、
自分自身の立場や迷いを確かめるためです。
その後、
パートナーと振り返りを読み合います。
ここでは、
- 相手がどんなことを考えたのか
- 自分とはどこが同じで、どこが違うのか
を意識しながら、
互いの振り返りに目を通します。
そして最後に、
パートナーの考えを受けて、
もう一度振り返りを書き足します。
- 相手の意見を聞いて考えが変わったこと
- 共感した点、引っかかった点
- それでも残っている迷い
こうしたことを、
自分の言葉で追記するように指導しています。
振り返りは「一人で完結させない」
このように、
私が振り返りで大切にしているのは、
振り返りを、
一人で考えて終わらせないこと
です。
議論の時間に揺れた思考は、
振り返りの中で、
さらに他者の考えと交わります。
そうすることで、
振り返りは「まとめ」ではなく、
対話の延長になります。
書けなかったことにも価値がある
ときには、
「うまく書けなかった」
「まだ分からない」
という振り返りが出てくることもあります。
しかしそれを、
不足や失敗として捉えることはありません。
むしろ、
それだけ、そのテーマに
本気で向き合った結果だ
と受け止めています。
考えきれなかったこと、
言葉にならなかった違和感もまた、
大切な学習の記録です。
ノートと振り返りは、次の議論につながっていく
ノートと振り返りは、
その時間だけで完結するものではありません。
次の授業で再びテーマに向き合うとき、
過去の振り返りが、
思考の出発点になることもあります。
だからこそ私は、
- きれいに書かせること
- 正しくまとめさせること
よりも、
思考が動いた痕跡を残すことを大切にしています。
次回に向けて
振り返りでは、
「テーマに対して書く」ことを大切にしています。
では、そのテーマとは、
どのように考え、
どのように設定しているのでしょうか。
テーマの立て方一つで、
振り返りの深さも、
議論の質も大きく変わります。
この「テーマ」については、
次回、改めて整理したいと思います。
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