目次
目標は、どこへ向かおうとしているのか
~新しい学習指導要領(素案)に見る「資質・能力」の変化~
※注意書き
※本記事は、新しい学習指導要領(素案)について、現場の教師の目線で整理したものです。
公式見解や結論を示すものではなく、一つの読み取りとしてお読みください。
まず、現行の学習指導要領ではどう整理されているか
現行の学習指導要領では、
学校教育で育成を目指す資質・能力は、
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力等
- 学びに向かう力・人間性等
という、いわゆる**「三つの柱」**で整理されています。
この枠組みは、
新しい学習指導要領が議論される現在においても、
多くの学校現場で共通言語として機能しています。
一方で、実際の現場では、
この三つの柱が**「目標」というより評価の観点として理解されがち**
という状況も見られます。
ここまでは、
現行の学習指導要領に基づく整理として、
多くの教師が共有している認識でしょう。
新しい学習指導要領(素案)を読むと感じる違和感
新しい学習指導要領(素案)を読んでいくと、
三つの柱が否定されたり、
まったく別の枠組みに置き換えられているわけではありません。
ただし、
素案全体を通して読むと、三つの柱そのものが前面に強く出てくる印象は薄い
と感じられます。
それよりも、
- 学習者をどう捉えるか
- 学びをどのような過程として考えるか
- 学校教育全体をどう設計するか
といった記述が増えているように見えます。
ここから読み取れるのは、
「目標が変わった」というよりも、「目標の置きどころが変わりつつある」
という点です。
目標の「位置」が変わろうとしている
現行の学習指導要領では、
多くの場合、
目標を設定し → 授業を行い → 評価する
という流れで、授業が整理されてきました。
一方、新しい学習指導要領(素案)の書きぶりからは、
学びの在り方を構想し →
学習の過程を重ねる中で →
目標として育っていく力を捉える
という方向性が、
これまでよりも強調されているように読み取れます。
つまり、
目標が「先に置かれる固定的なゴール」というより、
学びの中で立ち上がってくる指標
として扱われ始めているように見えるのです。
これは、
目標や資質・能力を軽視しているという意味ではありません。
目標と学びの関係を組み替えようとしている
動きだと考えられそうです。
現場では、ここが一番揺れそうだ
この変化は、
学校現場にとって不安を伴う部分でもあります。
目標が抽象的になることで、
- この授業で何を目指しているのかが見えにくくなる
- 評価とどう結びつければよいのか迷う
と感じる教師も少なくないでしょう。
一方で、
目標を過度に固定しないことで、
- 学習の広がりを柔軟に受け止められる
- 子どもの多様な到達の姿を捉えやすくなる
といった可能性も考えられます。
新しい学習指導要領(素案)は、
どちらか一方を選べと言っているというより、
この揺れを前提にした設計を示している
ようにも読み取れます。
変わらない部分も、あらためて確認しておく
ここで確認しておきたいのは、
すべてが変わるわけではないという点です。
- 三つの柱がなくなるわけではない
- 知識・技能が軽視されているわけでもない
- 資質・能力を考える枠組み自体は維持されている
新しい学習指導要領(素案)は、
これまでの考え方を否定するというより、
重心を少し移動させている
と捉える方が自然かもしれません。
この変化を、現場ではどう受け止めるか
新しい学習指導要領(素案)が示しているのは、
「目標を新しく定義し直しなさい」という指示というより、
目標と学びの関係を、もう一度考え直してみてほしい
というメッセージのように感じられます。
現場としては、
- すぐに授業や評価を大きく変える必要はない
- ただ、「目標を先に固定してきた感覚」は
少し見直す余地がありそう
その程度の受け止め方で、
十分なのではないでしょうか。
おわりに
新しい学習指導要領(素案)から読み取れるのは、
「何を教えるか」だけでなく、
「どのように学び、その中でどんな力が育つのか」
を重視しようとする姿勢です。
目標や資質・能力は、
教室の外で完成形として決めるものではなく、
学びの中で少しずつ形づくられていくもの
として捉え直されつつあるのかもしれません。
この第2回が、
新しい学習指導要領を読み進めていくうえでの
一つの視点になれば幸いです。


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