道徳科の評価は「二文」で考える

― 授業の深まりが、評価を成立させる ―

道徳科の評価については、
「何を書けばよいのか分からない」
「文章が毎回同じになってしまう」
という声をよく聞きます。

しかし、評価が難しく感じられる背景には、
評価の書き方以前の問題が潜んでいることがあります。

本稿では、
私が実際に行っている評価の考え方と方法を、
「二文」という整理を軸に紹介します。


道徳科の文言評価は「二文」で考える

私は、道徳科の文言評価を
二つの文に分けて考えるようにしています。

  • 1文目:授業中に見られた「事実」
  • 2文目:そこから見取れる「価値への向き合い方」

この整理をすることで、
評価の軸がぶれにくくなります。


1文目:授業中に見られた「事実」を書く

1文目には、
授業の中で実際に見られた生徒の姿を書きます。

例えば、

  • 友達の意見を静かに聞いていた
  • 自分の考えと比べながら、新たな気づきを得ていた
  • ノートに自分の言葉で考えを書いていた
  • 学習活動に十分参加できなかった

といった、
外に表れた行動や態度を中心に記述します。

ここでは、

  • 「優れている」
  • 「身に付いた」
  • 「成長した」

といった価値判断は入れません。

あくまで、
「授業の中で何が起こっていたか」を事実として書きます。

この1文目は、
指導要録の評価としても使用しています。


2文目:価値への「向き合い方」を書く

2文目では、
1文目に書いた事実をもとに、
生徒が道徳的価値にどのように向き合っていたかを記述します。

この文は必ず、

  • 教材
  • 主題・ねらい
  • 授業のテーマ

と結びつけて書きます。

例えば、

  • 相手を尊重することの意味について考えを深めていた
  • 困難があってもやり抜こうとする生き方に目を向けていた
  • 自分の弱さと向き合い、乗り越えようとする姿勢が見られた

など、
その授業で扱った価値そのものを軸にします。

この2文目は、
ノートの振り返りや発表、話し合いの中での発言など、
生徒自身の言葉を根拠にして書いています。

ここでも、
「身に付いた」と言い切ることはしません。


通知表では「1文目+2文目」を合わせて伝える

通知表では、

  • 1文目:授業中の具体的な姿
  • 2文目:価値への向き合い方

を合わせた形で、
生徒や保護者に伝えています。

こうすることで、

  • 授業での様子が具体的に伝わる
  • 道徳で何を考えていたのかが分かる

評価になります。


なぜ評価が書けなくなるのか

評価を行う際、
教師が困ってしまう大きな要因の一つとして考えられるのは、
授業そのものが生徒にとって魅力的ではなく、活躍した姿が見られないことです。

授業が、

  • 表層的な感想で終わっている
  • 自分事として考える場面が少ない
  • 意見を交わす必然性がない

状態であれば、
生徒の言葉や姿は表に出てきません。

その結果、
「評価を書こうとしても材料がない」
という状況に陥ります。


授業が深まらなければ、評価は取れない

だからこそ、
どの道徳の授業も、
氷山モデルの最下層まで深めることが必要だと考えています。

授業が深まらなければ、

  • 生徒の葛藤
  • 価値への迷い
  • 他者との関係の中での揺れ

は見えてきません。

授業が深まらなければ、
生徒の活躍は生まれず、
結果として、評価も取れなくなります。


【まとめ】これが、私の考える「指導と評価の一体化」

評価が取れないとき、
問題は「評価の書き方」だけにあるのではありません。

  • 授業は、氷山のどの層まで深まっていたのか
  • 生徒は、どのレベルで価値に向き合っていたのか

を、
教師自身が振り返る必要があります。

授業を深めることと、
評価を行うことは、
本来、切り離せるものではありません。

  • 深まった授業があるから
  • 生徒の活躍が生まれ
  • その姿を評価として言葉にできる

この一連の流れこそが、
私が考える
**「指導と評価の一体化」**です。

評価は、
授業の後に付け足すものではなく、
授業の質そのものを映す鏡だと考えています。

小学校・中学校 納得と発見のある道徳科 「深い学び」をつくる内容項目のポイント [ 島恒生 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/1/19時点) 楽天で購入